秋風が心地よい季節となってまいりました。10月は気候も落ち着き、ご家族の将来や暮らしについて落ち着いて考えるのにも良い時期です。
さて、先日(8月19日)の日本経済新聞の1面をご覧になったでしょうか。「終のすみかの現実」と題された記事に、思わず目を留めた方も多いかもしれません。
そこには、私たちが想像している以上にシビアな数字が並んでいました。
8年で4割増-急上昇する「入居時費用」の現実
記事によると、有料老人ホームなどの入居時費用の中央値が、東京都で1,000万円を突破。そして兵庫県でも中央値が990万円(全国4位)に達しており、東京では8年前と比較して約4割も増加しているとのことです。施設側の建築費や人件費の高騰、手厚いケアへの需要などが背景にありますが、「1,000万円前後」という初期費用は、決して気軽に用意できる金額ではありません。もちろん月々の利用料や医療費も別途かかってきます。かつては「親の年金や退職金でなんとか賄えるだろう」と思われていた介護資金ですが、今や事前の計画なしには立ち行かない時代に入りつつあります。
最大のリスクは「8割が話していない」こと
さらに考えさせられたのは,介護に関する意識調査の結果です。
30~40代の男女の約8割が、親の介護費用について話し合ったことがない、まさに仕事や子育てに追われる現役世代のリアルな現状です。「まだ親が元気だから」「お金の話は切り出しにくい」「縁起でもないと思われそう」といった理由から、後回しにしてしまう気持ちはよく分かります。しかし、介護はある日突然、予兆もなくスタートすることが少なくありません。いざ倒れたり認知機能が低下したりしてから慌てて探そうとすると、「親にどれくらいの預貯金や資産があるのか分からない」「どんな施設や暮らしを望んでいるのか本人の希望が聞けない」「想定外の出費で子世代の生活や家計が圧迫される」 といった事態に直面してしまいます。
10月の「今」だからこそできる準備
年末年始に実家へ帰省される方も多いと思いますが、久しぶりの家族団らんの場でいきなり「お金や介護の話」をするのは、少しハードルが高いものです。だからこそ、少し時間にゆとりがあるこの10月のうちに、まずは自分自身の問題意識を整理しておくことをおすすめします。
- 地域の相場感や制度を知る(今回のニュースのように、自治体や施設形態ごとの実態を把握する)
- きょうだい間で問題意識を共有しておく
- 「最近ニュースで見たんだけど…」と自然な会話のきっかけを用意しておく
高騰する費用そのものを個人でコントロールすることは難しくても、「知っておくこと」「話し合っておくこと」で防げるトラブルや選択肢の幅は大きく広がります。
「終のすみか」をどう整えるかは、親世代だけでなく、支える子世代の人生設計にも直結するテーマです。実りの秋、ぜひご自身の身近な未来について、少しだけ思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
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